地域仕事づくりコーディネーターサミット2013

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北信越ブロック代表

同じ釜の飯を食べて、課題探せ。

「地域資源MAPづくり」から自発的継続へ

石川と富山の県境にある、典型的な中山間地域・東原町。過疎、高齢化が進む町だが、元気な地域住民とヨソモノであるNPO法人くくのちが「40世帯維持」を目標に掲げ、取り組む。町の元気のために、「若者のエネルギー」を求め、ついに初のインターンシップ受入れを決断。まずは、10日間。マップづくりは、1つのきっかけでしかなかった。

プロジェクト実施の背景(問題意識・課題など)

36世帯、過去20年で4割人口減少。水芭蕉以外、特に観光資源はない。
しかし、この町にはUターンをして「町を元気にしたい」と朝市を運営している森さんや、レストランの女性経営者、東原町生産組合、東原町会の方がいる。NPO法人くくのちは、これらの住民らと、平成23年から40世帯を維持した自然と共存する地域づくりを目指し、月に一度会議を行う。この体制がインターンシップ導入に大きく寄与した。
同法人は耕作放棄地の整備がきっかけで、東原町を活動拠点に、ダンボールコンポストや体験農園、買い物支援事業など次々に着手した。そして、若者を受入れる土壌づくりのため、初の10日間学生受入れに挑む。

若者が担当した仕事内容・関わり方

町がインターンシップに期待することは、①学生の視点で地域資源を発掘して欲しい、②若者の受入体制を整えたい、この2つだった。
地域資源マップづくりと地域の課題発見に取り組むため、5人の学生が集まった。岩城さんは将来地域づくりに携わりたいという想いから、この地を選んだ。
まず、地域の現状を知るためフィールドワークを行った。それだけでなく、民泊で住民と生活を共にしたり、産学官のキーマンの話を聞いた。
地域の魅力をマップに落とし込むだけでなく、散歩コースの提案を行い、町での滞在時間を伸ばす工夫をした。10日目、地域住民の方を前にして報告会を行った。無事、これで終わり...ではなかった。

事業成果

インターンシップ後、民泊先の福田のばあちゃんの言葉が岩城さんの心に残った。
「あんたらがおらんくなると、寂しくなるわ」。
若者がくることで、地域住民は笑顔になり、同法人の活動や学生に興味をもち、質問や意見を出すようになった。
学生は「東原の里人」に認定され、インターンシップ終了後も東原まつりに参加した。朝市にも顔を出した。親も連れて行った。その時に欠かせない習慣が、福田のおばあちゃんの顔を見に行く事だ。「また来てね」。家族のようだった。
岩城さんは、この町のために自分ができることは何かと考えるようになった。東原の課題は解決できたのか。このままでいいのか。

関わった若者

金沢大学/岩城 由貴子(いわき ゆきこ)

活動先

特別非営利活動法人 くくのち/小中 真道
広く県民に対して里山の大切さを啓蒙し、里山における地産地消を促す為の啓蒙・啓発事業を行い、老若男女が交流する事で地域の活性化を推進するとともに里山の環境保全に寄与することを目的とした活動を行う。

活動先の人々(経営者や社員、地域住民など)の具体的なコミットメントや工夫したこと

①地域は、本年度が初の受け入れにも関わらず、5軒も民泊を受入れた。家族で寝食を共にし、密に地域の現状を感じてもらう。インターンシップ期間に限らず積極的に朝市や農作物収穫、地域行事などで学生を受け入れた。単年度ではない、長期的な視野で学生受け入れを覚悟した。「また来てね」の積み重ねが継続的関わりに。
②NPO法人くくのちは、地域のイベントや次年度のインターンシップの打合せに学生を誘い、常に学生を応援。

若者の活動によってもたらされた変化や気づき

同法人やコーディネート団体との定期的な会議やプロジェクトにも誘われ、東原と関わりを持ち続けた。近い存在から誘われ参加することで、東原町について考える機会を失わなかった。
そして、決断した。インターンシップ卒業生からなる「チーム里人」を発足!次世代のインターンシップ生を先輩としてサポートしながら、今後東原町のために自分達ができる独自の価値を模索中。通い続けて気付いたこともある。女性の声をもっと町会に反映させたいと今は考えている。
この町にとって大切なことは、若者が関わり続けていくこと。
10日間から継続的、発展的な関係へ。東原町×学生は、はじまったばかりだ。

▲東原町の朝市に買い物にきた常連のお客様に、ヒアリング調査。住民にはもちろんですが、それ以外のいろんな関わっている方にも東原町のことを聞きます。特に朝市は、東原町が外の人と交流をもつ貴重な場。

▲イベントで対面販売。東原町のことをPRする絶好の機会。でも、売るのは見た事もないたくさんの野菜。東原町の名物三姉妹の三女に野菜の美味しい調理法を教わります。対面だから、お客様の反応がわかります。

スタッフ/インターンのメッセージ

コーディネーター 仁志出憲聖

本気になれるNPO法人、地域、学生が揃ったことに感謝します。学生が東原町を大好きになり、住民は学生に期待し笑顔で迎え入れるようになりました。地域資源MAPという成果物以上の成果が大きいです。