地域仕事づくりコーディネーターサミット2013

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関東ブロック代表

大都市横浜の野菜流通に変化の兆し

農家の心に共鳴したはまっこチームが新結成

港町として知られる横浜は、野菜生産量が6万トンを超える農業の都市でもある。「横浜の人に横浜で採れた野菜を食べてもらいたい」と考えた料理人が横浜野菜を通して地域の繋がりを創出する会社を立ち上げた。

プロジェクト実施の背景(問題意識・課題など)

「横浜の食材のことなら、あの人に会ったらいいよ」。横浜の生産者たちがこぞって名前を挙げるキーパーソンがいる。株式会社よこはまグリーンピースの椿氏だ。20年以上、料理人として活躍してきた椿氏が“美味しい”を追求し行き着いたのが「地元の野菜を新鮮なうちに食することが一番美味しい」ということ。美味しい野菜を求めて横浜を巡る中で、横浜という大都会でもこだわって野菜を作るたくさんの生産者たちに出会った。農業に情熱を注ぐ生産者たちの尊い仕事をもっと横浜の人に知ってほしい。そして横浜の人にもっと横浜野菜を食べてほしい、その想いから同社を設立、流通や店舗運営から事業を開始した。

若者が担当した仕事内容・関わり方

設立から約1年。「“想いに共感してくれる仲間”と新規事業を立ち上げたい。」そう考えインターンを募集した所、横浜生まれ横浜育ち、将来農業に関わりたいと考える御園生さんと出会った。「ここだ」と感じたという御園生さん。「会社でやりたいことは?」という事前課題でプレゼンした「マルシェ事業」と「通販事業」が社長のやりたい新事業とまさに重なった。新事業の責任者となった御園生さんの最初の仕事は、椿氏の周囲にいる「農家や加工業者など様々な横浜農業のキーパーソン」の元に足を運び、「生産者の想い」をひたすら吸収すること。「農家の想いを伝える!」。そんな意気込みでマルシェ事業をスタートした。

事業成果

既存事業もある中で、新事業の成功は御園生さんにかかっていた。「失敗してもいいからやってみること!」椿氏はその事を徹底して伝え、細かく相談時間を取り、一人でも動けるサポートをした。開催場所も決まらず、全て手探りで動いていたがようやく、横浜駅隣接の百貨店で実施が決定。実施1ヶ月前の事だ。それから怒濤の準備。農業への若者の関心を高めたいと横浜国大生を巻き込んだり、仕入れや値付け、他事業者との調整等をやりきった。「想いを伝える為に頑張らないと!」その一心で開催したマルシェは2日間で購入組680組以上。周囲の予想を超える結果となり百貨店からも「またやってほしい」と継続が決まった。

関わった若者

慶應義塾大学/御園生あゆみ(みそのう あゆみ)

活動先

株式会社よこはまグリーンピース/椿直樹
地場食材の流通や加工食品の開発・販売、飲食店・イベントの運営やコンサルティングを実施。

活動先の人々(経営者や社員、地域住民など)の具体的なコミットメントや工夫したこと

経営者は元々、横浜の農業関連のキーパーソンとのネットワークが強かった。そこでインターン生は「経営者お勧め」のキーパーソンを最初に全て訪問。想いを直に聞き、インターン生自身に「やらねば」という当事者意識が芽生えた。また事業の主導をインターン生に任せるが、定期的なミーティングや気軽なランチ等を通じインターン生と信頼関係が強まるよう、経営者が丁寧に接することでインターン生本来の力が最大限に引き出された。

若者の活動によってもたらされた変化や気づき

マルシェをきっかけに豊かな関係も生まれた。出展した2事業者は、大正10年創業老舗メーカーや地域に根付く商店。横浜に熱い想いを持った3者で地産地消を推進するNPOを設立する事になった。またコスト計算の結果、椿氏が諦めかけた通販事業は御園生さんが発掘した新しいキーパーソン「牛乳屋」と連携する事で、3000軒に対して商品を届ける事業モデルが確立した。「御園生と働いて“諦めなければ叶う”という事を思い出した」そう語る椿氏。農家・事業者・学生など本来、繋がらないはずのキーパーソン達が椿氏を中心として世代や立場を超えた共通の想いで繋がり、地産地消に向けた“まちの恊働”が始まりつつある。

スタッフ/インターンのメッセージ

コーディネーター 田中多恵

椿さんは「横浜野菜への情熱」を核に職業や世代を超えた豊かな人間関係を培って来られました。その想いを受け継ぎ一生懸命企画を推進する御園生さんの姿勢が伝わり、多くの方々の協力を集めることができました。