地域仕事づくりコーディネーターサミット2013

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中四国ブロック代表

「地域の宝」を視える化!

島を次代につなぐ「写真」と「空き家模型」

地域外の若者を活用したまちづくりへ。「写真」を使って地域の昔話と笑顔を発掘、空き家率79%の現状を一目で伝える「集落の模型化」を通じて、地域の人の心と自治体を動かした。

プロジェクト実施の背景(問題意識・課題など)

六島は、「水仙と灯台」の島と知られ、特に2、3月は、水仙のシーズン。今までの島づくりにおいて、水仙の環境整備に尽力してきた結果、島の人口80人の10倍以上に当たる1000名以上の方が観光に訪れるようになった。そのような中、島に来られた方に対して、婦人会を中心に公民館を活用して「ふれあい喫茶」を開設し、軽食とくつろぎ空間を提供しているが、多くの観光客の方々に対して、婦人会のメンバーだけで対応するに限界が見えてきた。人口減少と高齢化によって、自治会、婦人会をはじめとした「地域の仕事」は特定の人に集中しがちなのが現状である。

若者が担当した仕事内容・関わり方

そのような状況で、埼玉、奈良から2名のインターン生が2,3月に、島の観光をサポートにやってきた。このシーズンの観光客の目当ては、水仙。そこで、随時、水仙の開花状況がわかるように、毎朝、定点で写真を撮り、ブログで発信。また、ふれあい喫茶へ来られるお客さんへの接客、お土産販売、小学校では5,6年生の授業支援を行った。松本君は、島ランニング、ドラム缶会議を通じ、島の人と話すとき、昔の話になると会話のテンポが上がることを感じた。二石さんは、島を歩き回る中、想像以上に空き家が多く、また古き良き昔の暮らしを彷彿とさせる空き家、街並みに新たな島の魅力を感じた。

事業成果

松本君はそこで、写真というものを介してそこに島の人1人1人がもつ知恵、知識、技を写真に書いてもらい、アルバムとしてまとめることで、改めて魅力に気づくことができると考えた。二石さんは、1つ集落を調査し、84戸中、定住が17戸、夏など一時帰省の空き家が61戸、全半壊が6戸であることがわかった。しかし、島の人などは空き家の多さについて、また空き家が資源になりうることについて気づいていないと感じ、現状について知ってもらうとともに、資源になりうるということを伝えようと、小学校の空いた教室を借り、子どもや地域の方に手伝ってもらいながら、集落の模型づくりが始まった。

関わった若者

前橋工科大学/松本 一希(まつもと かずき)
奈良女子大学/二石 菜々子(ふたついし ななこ)

活動先

六島まちづくり協議会/三宅 忠信
六島における各種団体から代表が集い、六島のまちづくりに関して、協議と推進を担う。

若者の活動によってもたらされた変化や気づき

そして、最終発表会。
松本君のワークショップでは、130枚の写真を元に、島の方々が写真に思い出や説明を入れていく。二石さんのワークショップでは、模型に、住んでいる家と空き家を色分け、水仙が咲いている場所を黄色、住んでいる家にはピンで〇〇さんの家を表示、思い出を書き込んだり。島の方々からは、「(空き家の現状に)初めて気がついた」「何とかしないといけない」との声が。
そして、水仙のオフシーズンであり、整備をする夏の時期に、大学生に来てもらい、その宿泊先として、空き家を整備する案が提案された。
その提案を受け、市役所は空き家の資源化へ支援を決定し、島は次なる挑戦に動いている。

▲インターン中に島の各所を撮った写真を、最終発表ワークショップにて、島の方が各写真に「思い出」話に花を咲かせながら、書き込む(松本)

▲最終発表ワークショップの際に、誰が住んで、どこが空き家かがわかる集落の模型の最終仕上げを島の方々と完成へ。(二石)

スタッフ/インターンのメッセージ

二人の島での挑戦は、島の方々が資源になりうる「空き家」の実態に気づき、行政は、その空き家対策への支援へ。島に地域の課題を資源にし、動いていく「きっかけ」をつくってくれた。