地域仕事づくりコーディネーターサミット2013

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東北ブロック代表

子どもたちの貧困の連鎖を止めるため

安心してまなべる「場所」と「つながり」をつくる

震災で浮き彫りになった子どもたちの教育格差の問題。その格差の広がりを止めるために立ち上がったNPO法人アスイク代表の大橋さんと、2人の女子学生の物語。

プロジェクト実施の背景(問題意識・課題など)

震災の問題が、従来から存在・拡大していた相対的貧困の問題とオーバーラップしていく様子を目の当たりにし、危機感を募らせていたNPO法人アスイクの大橋代表。子どもたちの貧困の連鎖を断ち切るためには、これまでの教育支援活動をよりスケールインパクトのある事業へと発展させていく必要があると感じていた。
震災の影響に限らず経済的な理由によって教育の機会を奪われる問題を解決する、またその為には、教室運営のしくみ化やサポーターの定期確保のために大学連携の必要性を感じていた。

若者が担当した仕事内容・関わり方

問題解決に取り組む大橋代表の思いに触れ参画した2人の女子学生。自身も被災し、震災で悩む子どもたちに向けて何かできないかと思っていた松橋は、定期的にサポーターを集める為の大学連携事業に取り組むことに。もう1人の佐藤は、何かの役に立ちたい、自分自身にも自信をつけたいとアスイクのインターンシップに飛び込み、子どもたちへの新たなサービスとして受験生サポート事業に取り組んだ。

事業成果

一つ間違えれば団体の信用を落としかねない責任ある学連携事業。特定の団体とは組めないと断られるも、他のNPOなどとの連携を考えサークルを立ち上げて連携を実現させていく。「その方法で無理ならば、他の方法を探すしかない」食らい付き勝ち取っていった大学連携は4大学にも及んだ。もう一つ肝心な、子どもたちへの学びの質の向上には、佐藤が一人一人と向き合い、何が必要かを考え、受験生向けの教材開発に挑んでいく。初めは学習に対して意欲の低かった子どもが、根気づよく向き合い反復学習を教材に盛り込むことで、「できない」から「できる」に変わり自分から学び始めるにまでなった子どもたち。

関わった若者

宮城教育大学/松橋 穂波(まつはし ほなみ)
東北学院大学/佐藤 捺美(さとう なつみ)

活動先

NPO法人アスイク/大橋 雄介
仙台を中心とした被災地で、子どもの教育支援に取りくむ。被災した子どもの支援の切り口を「被災」から「経済的困窮」へシフトし、この震災をキッカケとしてもともと存在していた「子どもの貧困」問題に切りこむ。

活動先の人々(経営者や社員、地域住民など)の具体的なコミットメントや工夫したこと

①まず場を与え→やってみさせる→振り返る→自分で気づく→自分から踏み出していく、というサイクルを意識して、特に振り返りをしっかりと行っていた
②奥手な学生にも、自分の言葉で話すまでしっかり待ったり、促したりして自主性を育んでいったこと

若者の活動によってもたらされた変化や気づき

最初は言われたことしかできなかった松橋と佐藤。しかし、子どもたちの笑顔に勇気づけられながらも、いつしか自分の意志で動き始めるようになっていく。その彼女らの諦めずに向き合う行動に触発され、自分たちで課題を見つけ取り組み始めたサポーターの学生たちや、反復学習を進んで行う子どもたち。まさに2人の行動が周りに火をつけ主体性を引き出していったのではないだろうか。
勉強が分からないから、できないから諦めていく。その先にある貧困の連鎖を食い止めていくのは、彼女らが見せた、諦めない姿勢にあるのかもしれない。

スタッフ/インターンのメッセージ

コーディネーター 中村憲和

インターン生がサポーターにヒアリングしたりプロジェクトに巻き込んでいく過程で、サポーターの主体性を引き出していったり、本部との関係性を深くしていったことは彼女たちがいたから生み出された成果だと思います。また大学連携では、当初設定していた目標以上の成果を生み出したことも大きく評価されるポイントだと思います。