地域仕事づくりコーディネーターサミット2013

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北海道ブロック代表

支援×アルバイトで文化を創る

札幌から生まれた新しい寄付のカタチ

2011年4月アルバイト×ボランティア、通称「あるぼら」という取り組みが札幌で誕生した。札幌や東北など地域を跨って複数の大人たちがメンターとなり、大学生が社会に新しい仕組みを生み出すことに挑戦している。活動から2年たった今取り組みも更に活発になり、未来を見据えて新たな動きが始まろうとしていた。

プロジェクト実施の背景(問題意識・課題など)

そのお金は本当に被災地の元気に繋がっているのか。
2011年3月未曾有の大災害により、甚大な被害を受けた東北地方。多くの寄付金が集められたが、その寄付は「する側」と「受ける側」の顔が見えず、本当に役に立てているのか不透明だった。
「あるぼら」は、そんな寄付の仕組みに疑問を持ち札幌の学生6名が立ち上げたプロジェクトだ。大学生数十名が一日限りのアルバイトに取り組み、汗を流して働いた給与を全額被災地に寄付する。寄付先も実行委員で選定し、お金が何に使われ役に立てたかを取材、詳しくフィードバックをする仕組みである。札幌の学生たちのエネルギーを被災地に送り届ける活動がスタートした。

若者が担当した仕事内容・関わり方

活動には大人の協力が不可欠だった。立ち上げ時から2013年現在もアルバイト先の紹介や当日業務のサポートを担う㈱アスクゲートの浅野氏。
札幌のアドバイザとしてお金の扱いや活動に助言をする北海道新聞社の堤氏。宮城県南相馬市、ゾウプロジェクトの相沢氏は「あるぼら」の取り組みに深く共感し、寄付先との交渉や取り組みへのアドバイスなどを担っていた。学生はアルバイト先の確保や、東北各県庁に手紙を送って協力者を募り、活動状況をムービーにまとめて双方向で配信・交流を行った。ただの寄付ではなく、寄付側も楽しむこと。被災地と協力しながら対等な関係で活動は盛り上り、継続した関係が生まれ始めていた。

事業成果

勝毎花火大会や、札幌雪祭りなど計8回が行われ150名の学生が参加、これまで100万円以上の寄付金が送られた。津波により笹かま工場が流された仙台の佐々直では「手のひらかまぼこ」に使われる道具を購入し、止まっていた生産ラインを復興させた。南相馬氏では震災以降止まっていたお祭りを、寄付で再開させるなど各地で取り組みが行われた。また、学生がお祭りに参加したり、そこで作られた製品を札幌に送って頂くなど、参加したひとりひとりが自分の仕事が人の役に立てたことを実感していった。道知事や経産局長も出席した「北海道起業家アワード2013」では、学生部門グランプリに選ばれるなど評価を受けている。

関わった若者

北海道大学/高島 幹(たかしま もとき)

活動先

ゾウプロジェクト/相沢 優
「若者の心(ハート)に火をつける」ことを目的とする有志団体。仙台に本物の象を呼ぶ「ゾウ・プロジェクト」から始まり、「食」や「スポーツ」など幅広いテーマから、地域を盛り上げるプロジェクトを企画してきた。

若者の活動によってもたらされた変化や気づき

活動が進むにつれ「今被災地でお金や寄付が本当に求められているのか。」「我々は何の役に立てるのか。」と葛藤が生まれた。議論を重ね、今後は被災地支援だけではなく、あるぼら文化を全国に広げるというミッションに絞っていった。全国の学生が1年に1日は誰かのために仕事をする文化を作る。200万人いる学生の100人に1人が活動するだけで年間1億円以上のお金が使われる計算だ。「新しい文化をつくる」「社会は変わるかもしれない」いつしか活動するメンバーが当たり前に話し合うようになっていった。北海道は震災支援に引き続きこだわり10月、再度東北の調査に行く予定だ。

▲仙台で津波により工場が流されてしまった新井田屋水産との集合写真。魚の仕入れ先確保のため佐渡島に訪問している際に合流。工場や仕入れ先なども一緒に訪問し、寄付先と深い関係をつくっていく。

▲北海道を代表する十勝毎日新聞社主催の花火大会。2011年から3回目の活動。朝6時に集合し、1日かけて花火大会の運営を行う。普段できない仕事を体験し、汗を流しながら寄付活動を行う。

スタッフ/インターンのメッセージ

コーディネーター 浜中 裕之

「社会に新しい文化を創る」という意気込みで活動する学生団体が増えることで、学生活動の水準が上がると考えます。取り組んでいくうちに、「社会を変える」が身近になる。そんな取り組みになっているのではないでしょうか。